【特例期限は令和3年末!】住宅取得資金の贈与は今年中にするべき

2021年08月27日

はじめに

相続のための節税対策のひとつに、「生前贈与」によって相続財産を減らすという方法がありますが、そのために活用されていた「住宅取得資金の特例」が、令和3年(2021年)末までで終了するのをご存知でしょうか?

住宅取得資金の特例が終了してしまうと、子や孫に住宅資金を贈与すると多額の贈与税がかかってしまい、実際に手渡せる金額が少なくなってしまいます。

ここでは、住宅取得資金の特例とは何か、特例がなくなると贈与税はどうなるのか、住宅資金の贈与予定がある人はどうしたらよいのかといったことについてご紹介します。

住宅取得資金の特例は令和3年末まで!

住宅取得資金の特例が受けられるのは、令和3年(2021年)12月31日までです。下記の条件に当てはまる人は、特例を利用すべきか、今すぐ検討した方がいいでしょう。

住宅取得資金贈与の非課税特例とは?

住宅取得資金贈与の非課税特例とは、子や孫に生前贈与をする場合に、住宅を取得(増改築)するための資金援助であれば、1,000万円(耐震・省エネ住宅は1,500万円)まで贈与税がかからないという特例のことです。

この特例以外に、毎年110万円まで贈与税が非課税になる「暦年課税」を利用している人も、多いことと思います。住宅取得資金の特例は、この110万円の非課税枠と併用することができるので、節税対策を考える多くの人が利用しています。

受贈者の条件

住宅取得資金を受け取る人(受贈者)の条件は、贈与者の直系の子や孫に限られます。つまり、家系図の縦のラインでつながった、実の子・孫、あるいはひ孫になります。配偶者はこれに含まれません。

なおかつ、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であり、その年の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(住宅の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)の人が対象です。

建物の条件

住宅取得資金の特例が受けられる建物は、受贈者が住むために取得する新築・中古住宅や、増改築の家屋です。

特例を受けるには、贈与を受けた翌年の3月15日までに、贈与を受けた資金の全額を使って住宅を取得(増改築)し、居住していなければなりません。

自分の親族や配偶者から贈与を受けた住宅は、特例の対象から外されます。親族や配偶者と建築などの請負契約を結ぶ場合も、対象外となります。

また、床面積は新築・増改築ともに50㎡以上(合計所得金額が1,000万円以下の場合は40㎡以上)240㎡以下で、その半分以上を受贈者の居住用として利用するという条件もあります。

中古住宅については、築20年以内(耐火建築物は築25年以内)の住宅か、または地震に対する安全性が認められた住宅が対象となります。新耐震基準を満たした住宅や、購入後に耐震改修をした住宅などが、これにあたります。

増改築の場合は、自己所有の住宅に住んでいることと、工事費用が100万円以上であること、費用の半分以上が居住のための工事であることが条件となっています。

その他手続き

住宅取得資金の特例を受けるためには、贈与税の申告書の提出期限内に、贈与税の申告書や所定の書類を提出しなければなりません。贈与税の申告書の提出期間は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までです。

非課税限度額は条件によって異なる

消費税が課税されるか、されないか

住宅取得資金における贈与税の非課税限度額は、消費税が課税されるか否かによって違います。

住宅を購入した場合、新築の建物や不動産会社が売主となった中古物件については消費税がかかりますが、個人から購入した中古住宅などは消費税がかかりません。

消費税がかからない物件については、これまで説明した非課税の限度額とは異なるので、注意しましょう。

一般的な住宅か良質な住宅か

住宅取得資金に係る贈与税の非課税限度額は、一般住宅か良質な住宅かによっても異なります。一般住宅の場合は1,000万円までですが、省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性のある良質の住宅に関しては、1,500万円まで非課税となります。

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度 2021年12月末まで
一般住宅 消費税10% 1,000万円
上記以外(個人が売主の中古住宅など) 500万円
良質な住宅
(耐震・省エネ・バリアフリー)
消費税10% 1,500万円
上記以外(個人が売主の中古住宅など) 1,000万円
非課税の条件 受贈者の所得:2,000万円以下
床面積:50㎡以上
または
受贈者の所得:1,000万円以下
床面積:40㎡以上~50㎡未満

では、個人が売主となった中古住宅を取得する場合は、いくらまで非課税になるのでしょうか?個人などから取得した消費税のかからない物件の場合は、一般住宅が500万円、良質な住宅が1,000万円まで非課税になります。

床面積については、受贈者の所得が2,000万円以下では50㎡以上、1,000万円以下の場合は40㎡以上50㎡未満の住宅が適用になります。

特例がなくなると贈与税はいくらかかる?

住宅取得資金の特例がなくなると、贈与税はいったいいくらかかるのでしょうか?これは贈与する側もされる側も、非常に気になるところです。

実の親または、祖父母から贈与を受ける場合の贈与税(※)
課税価格 税率 控除額
〜200万円以下 10%
〜400万円以下 15% 10万円
〜600万円以下 20% 30万円
〜1,000万円以下 30% 90万円
〜1,500万円以下 40% 190万円
〜3,000万円以下 45% 265万円
〜4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

贈与を受ける者は、その年の1月1日現在で20歳以上の者に限ります。

実の子や孫に贈与する場合は、200万円以下で10%、400万円以下で15%と、贈与額が上がるにつれて税率も上がっていきます。

贈与額が4,500万円以上になると、実に55%という、かなり高い税率になります。高額の贈与の予定がある人ほど、住宅取得資金などの特例について、すぐ対応した方がいいでしょう。

贈与税額の計算の仕方は、次の通りです。

贈与税額=課税価格(贈与財産-110万円)✕贈与税率ー控除額

たとえば実の子に1,000万円を贈与した場合、贈与税額は177万円になります。

贈与税額=(1,000万円ー110万円)✕30%ー90万円=177万円

つまり、1,000万円を贈与すると、実際に子どもに手渡せるのは823万円になってしまうというわけです。

この1,000万円を住宅購入資金として贈与すれば、1,000万円そのまま子どもに手渡せることを考えると、いかに特例が有難い制度かがわかります。

非課税制度見直しの背景

この非課税特例の見直しについては、相続税と贈与税のあり方について、政府が見直しを行っているという背景があります。

2020年12月10日に、自民・公明両党が「税制改正大綱」を発表し、日本も海外のように相続税と贈与税を一体化すべきという趣旨を伝えました。

大まかな内容としては、親が子に財産を渡す時期が生前か否かによって、資産のある人が得をすることがあってはならない。格差をなくす意味で、贈与税を見直す必要があるということです。生前贈与の特例が使えなくなる方向で動いているのも、この政府の方針からきています。

そのため、「住宅購入資金の特例がなくなっても、また新たな特例が出てくるだろう」という期待は、抱かない方がいいでしょう。

教育や結婚・子育ては令和5年3月末まで!

資金援助という名目の非課税特例が受けられるのは、「住宅取得資金」だけではありません。「教育資金」や「結婚・子育て資金」についても、贈与税なしで子や孫に資金援助をすることができます。

それぞれ「教育資金」は1,500万円まで、「結婚・子育て資金」は1,000万円まで非課税となっています。

その教育や結婚・子育てに関する資金の特例も、住宅取得資金と同様に、令和5年(2023年)末までには終了します。

あと2年ほどで、子や孫への生前贈与に関するすべての特例が、なくなるということです。このことを踏まえて、いま一度子や孫への相続について、見直すことをお勧めします。

住宅取得資金の贈与の予定があればお早めに!

お子さんやお孫さんに住宅資金を贈与されるご予定がある方は、住宅取得資金の特例が年内で終了してしまう前に、早めに手続きを行った方がいいでしょう。

先ほどもご紹介した通り、住宅取得資金の特例については、「贈与を受けた翌年の3月15日までに、全額を使って住宅を取得(増改築)しなければならない」といった、厳しい取り決めがあります。

住宅の購入は、人生の一大事ですので、一朝一夕に決められるものではありません。物件選びや建築日程など、さまざまなことも含めて、少しでも余裕をもって話を進めることが大切です。

和歌山中古住宅販売センターでは、特例対象の新築・中古物件の販売やリノベーションも扱っていますので、お気軽にお声かけください。

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